3.パネルディスカッション 「これからのメディアと学習」
パネラー
赤堀侃司先生(日本教育工学会 会長/東京工業大学 教育工学開発センター 教授)新井健一氏(株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員)
向後千春先生(早稲田大学 人間科学部 准教授)
司会
山内祐平(BEATフェロー/東京大学大学院情報学環 准教授)
赤堀先生
私が考える現在の主な問題意識は以下の3つである。
(1)これから教室に小型のコンピュータが入ってくるだろう。しかし、紙もなくならない。コンピュータと紙をどう合わせるか。
今はデジタルペンが出てきた。つまり、デジタルが紙の要素を融合する方向が出てきている。さらには、電子ペーパーも登場してきた。これは、紙ではできない特徴、例えば大きく写すこともできるので、紙とデジタルの融合化をしているものだといえる。
(2)活字の上に、手書きの文字を重ねる電子黒板が出てきている。つまりこれからはブレンド型であっても、聞いているだけのものではなく、デジタルと手書きを重ねる主体的なものが出てくるのではないか。
(3)人のいないeラーニングでうまくいかない部分に対して、人をどう組み合わせるか。
また、TPACKというモデルは「教育」と「テクノロジー」と「科目別のコンテンツ」の3つを、バラバラではなく、統合される形で研究をしていかないといけない時代になりつつあること主張したモデルである。つまり、今までは「認知的な効果」と「実践的な効果」を研究し、「現実の場における実践」を行うことをしてきたが、それだけでなく「デジタル技術の導入」によって良さをさらに引き立てることが大事なのだと考える。そして、「デジタル技術の導入」による知見をデジタル技術だけの範囲で終わらせるのではなく、「認知的な効果」と「実践的な効果」の方にフィードバックしていくことがこれからのモデルになると考える。
新井氏
TPACKモデルは興味深い。
まずテクノロジーを考えると、1970年代に3万円した電卓が、現在は数百円で買えるようになっている。そう考えるとパソコンの急速な低価格化と同時に、おそらく新しいデバイスが出てくるだろう。特に、赤堀先生が言われたように電子ペーパーは重要なものになると思う。デバイスには、「軽くて・丈夫で・賢くて・心が広くて・オープン性・バッテリーが長持ちする」というのが要件になる。その点で、手書きも可能な電子ペーパーは今後重要なものになると思う。
それから、認知的な視点から考えると、「構造化」は重要である。たとえば、ダラダラ話すよりも、ポイントは3つありますといったほうが伝わりやすい。
また、コンテンツに関しては、これからはリッチ化とスマート化の方向になっていくと思う。リッチというのは、ハンディカムなどでハイビジョン映像が取れるようになっているように高精細な動画が増えるという意味で、スマートというのは今日の発表であったように、協調フィルタリングのように賢いシステムが媒介してくれるという意味である。
おそらくこれからはこの3つ(テクノロジーの進化、認知的知見、コンテンツの進化)が組み合わさってくるのだと思う。
向後先生
「CAI(Computer Aided Instruction)は死んだ」とよく言われるが、これは大きな間違いだということを指摘したい。CAIは死んでいないということを共通認識として持っていないと、これから先の未来の教育は語れないと思う。というのも、CAIはいまだに成功し続けている。それは、「即時フィードバック」と「学習者の反応による分岐」があるものは、どんなシステムであれCAIの原理が生きているということである。
もしこれから色々なデバイスが開発されたとしても、「即時フィードバック」と「学習者の反応による分岐」の2つを踏まえていないと必ず失敗する。断言していいと思う。これからの教育を考える際にも、この2点を忘れてはいけない。
BEAT Seminar Report
2010年度開催
-
第1回:電子書籍時代の教材:誰が作りどんな形になるのか
2010年5月29日
2009年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
学習環境のソーシャルイノベーション
2010年3月27日 - 第3回:モバイルARが拓くPlace Based Learningの世界
2009年12月5日 - 第2回:日本の教育×オープンイノベーション:
世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して
2009年9月5日 - 第1回:2015年の学習環境を考える
2009年6月6日
2008年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来
2009年3月28日 - 第3回:アートワークショップで子どもの可能性をひらく
2008年12月6日 - 第2回:プロジェクト学習が大学を変える
2008年9月6日 - 第1回:あなたに「ぴったり」な学びをかなえる技術
ー教育における協調フィルタリングの可能性を考えるー
2008年6月7日
2007年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
未来の教育のために学校と家庭ができること
ーフィンランドと日本の対話ー
2008年3月29日 - 第3回:子どもの放課後学習環境
2007年12月1日 - 第2回:BEAT 特別セミナー
オープンエデュケーションが切り開く未来
—Education 2.0:OCWの次にくるもの—
2007年8月25日 - 第1回:知育玩具
ー創造的制作活動をアフォードする人工物
2007年6月2日
2006年度開催
- 第9回:BEAT 特別セミナー
モバイル・ユビキタス技術と学習環境
:BEAT3年間の研究を総括する
2007年3月27日 - 第8回:子どもとネットコミュニティ
2007年1月13日 - 第7回:健康とICT
〜Web2.0で健康に?!〜
2006年12月9日 - 第6回:BEAT 特別セミナー
学習科学とICTは学びのあり方を変えるか
ー高等教育の変革を事例としてー
2006年11月11日 - 第5回:イマドキ・キッズの遊び場、学び場
どのようなチルドレンズミュージアムを創るか?
2006年10月7日 - 第4回:学校の枠を超えた交流学習:
伝え合うことで"異文化"を学ぶ子どもたち
2006年9月2日 - 第3回:ゲーム・ルネッサンス:
いつか来た道、これからの道
2006年8月5日 - 第2回:Web2.0で創る
『みんながちょっとずつ頭がよくなる世界
2006年6月24日 - 第1回:『かわいい子にはケータイを持たせよ?!』
キャリア各社の子ども向けケータイサービスへの取り組み
2006年5月20日
2005年度開催
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2005年度 研究成果報告会
2006年3月25日 - 第11回:新しい評価技術とデジタル教材での活用
2006年2月11日 - 第10回:使える英語を身につけたい!:
語学学習を支援するデジタル教材のこれから
2006年1月7日開催 - 第9回:Aクラス人材を育成せよ:
企業eラーニングの現在
2005年12月3日開催 - 第8回:CAI/WBT
2005年11月12日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
ヨーロッパ・モバイル放送の現状と教育利用の展望
2005年10月 1日開催 - 第6回:BEAT 特別セミナー
教育における知的所有権・その現在と未来
2005年 9月 3日開催 - 第5回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
シミュレーション
2005年 8月 6日開催 - 第4回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
魅せます、CSCLのすべて:1日でわかる協調学習
2005年 7月 9日開催 - 第3回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
インタラクティブ学習環境「Logo」
2005年 6月 11日開催 - 第2回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
「人と森林」「マルチメディア人体」
2005年 5月 7日開催 - 第1回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
ミミ号の航海と合衆国マルチメディア教材の系譜
2005年 4月 2日開催
2004年度開催
- 第8回:BEAT 特別セミナー
Emerging learning technology in education
姿をあらわしはじめた 新しい学習テクノロジー
世界最先端の現場から
2005年 3月 5日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
プロジェクト成果報告会
2005年 2月 5日開催 - 第6回:DoCoMoモバイル社会研究所 共同企画
ケータイ・ネット・テレビ
〜メディアとこどもの今とこれから〜
2005年 1月 8日開催 - 第5回:モバイルする!? 科学教育
2004年12月11日開催 - 第4回:モバイルコンテンツとインストラクショナルデザイン
2004年11月 7日開催 - 第3回:ヨーロッパ・m-learningの現在
2004年10月 9日開催 - 第2回:"ケータイ"と教育の未来
2004年 9月 4日開催 - 第1回:地上デジタル放送の教育展開
2004年 7月 3日開催

