今回のBEAT Seminarでは、社会で活躍できる人材を育成するために「プロジェクト学習」を行っている大学の教員をお招きし、「プロジェクト学習」の成功の鍵について議論しました。
近年、大学卒の人材は、専門的知識や思考力に加え、実践的な能力(コミュニケーション能力やプロジェクト遂行能力)も求められるようになってきています。大学でこれらの能力を育てるためには、どうすればよいのでしょうか。
その答えの一つとして、「プロジェクト学習(PBL: Project Based Learning または Problem Based Learning)」が注目されています。「プロジェクト学習」とは、複雑な課題や挑戦に値する問題に対して、学生がデザイン・問題解決・意志決定・情報探索を一定期間自律的に行い、リアルな制作物もしくはプレゼンテーションを目的としたプロジェクトに従事することによって学ぶ学習形態です(Jones 1997)。
今回は、基調講演として、金沢工業大学の久保猛志先生に「金沢工業大学における教育改革への取り組み」をご紹介いただきました。次に、実践事例として、聖路加看護大学の森明子先生に「看護教育におけるプロジェクト学習の実践」を、立命館大学の八重樫文先生に「デザイン系教育におけるプロジェクト学習の実践」を紹介していただき、フロアとディスカッションを深めました。
1. 基調講演
「金沢工業大学における教育改革への取り組み―教職員の協働による学生主役の大学づくり―」
久保猛志氏(金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 教授)
1.1.金沢工業大学における「プロジェクト学習」
金沢工業大学では、学生と教職員と理事の三位一体体制の下で様々な教育実践を行ってきた。なかでも、
- 問題発見や課題探求型教育による能力の総合化を目指す工学設計教育
- 目的指向型カリキュラムに基づく専門コア教育
- 学校時間外の学生の自主的な創造活動を支援する夢考房活動
という実践が「プロジェクト学習」に近いものであると考えている。
1.2.金沢工業大学の教育改革の歩み
金沢工業大学は、1992年から新たな教育の枠組みについて検討する組織が発足し、米国大学の視察研修を行った後、1995年に教育大学として生まれ変わった。2000年には7学系、13学科体制を取り、工学基礎教育センターや学習支援デスクが設置された。2004年には工科系総合大学という形になり、2008年には現在の4学部、7学系、14学科体制になった。
1.3.教育改革の目標
金沢工業大学における教育改革の目標は以下の3つである。
- 「学生を主役」にした教育実践
- 「個々の教育」から「組織的な教育」への転換
- 「修学満足度の向上」と「夢考房キャンパス」の形成
この3つを基盤にして、「授業」と「課外学習」の両方をカバーして年間300日の学習支援を行い、学生の「意欲」と「自主性」を引き出すことを図っている。そして最終的には、「自ら考え行動する技術者の育成」と「教育付加価値日本一の大学」を目指している。
教育の座標についても、
・知識伝授から知恵の修得へ
↓
・一つの解から多様な解へ
↓
・例題回答型から課題探究・解決型へ
と変容してきた。
そしてこのような中で、以下のような新たな教育体系が創案された。
- 3学期制による密度の高い教育実践
- 導入教育
- 人間形成基礎教育(人間力教育)
- KITポートフォリオシステム
- 数・理・工総合教育
- 目的指向型カリキュラム
- 工学設計教育
1.4.工学設計教育 ―考えるという行為の実践の場―
1.4.1.工学設計教育の目標
カリキュラムは、「工学設計Ⅰ〜Ⅲ」という授業を段階的に履修することを軸に、専門基礎科目やコア科目を履修しながら、4年生にはプロジェクト活動をしてもらうようになっている。
基本的にどの科目も、プロジェクトや制作などを中心に構成しており、学生の意識を、「例題回答型」から「問題解決型」へ、さらに「問題発見型」に高めることを目標にしている。
1.4.2.工学設計の5つの過程
工学設計は、以下の5つの行動を行う過程と定義されており、これらを経験してもらって成果物を出すことが重要であると考えている。
- 問題領域の明確化
→取り組むべき具体的なテーマを明確にする - 情報の収集と分析
→テーマに関する情報の収集・分析を行い、到達ゴールを設計仕様としてまとめる - 解決案の設計
→制約条件下で、テーマに対する解決案を考え、評価する - 報告書の作成
→解決案を、報告書等の具体的な成果の形でまとめる - 成果の発表
→得られた成果を、第三者にも分かるように効果的に発表する
1.4.3.授業運営と設備
1クラス約35名で、その中で5~6名のチームを作って行う。このチームでの活動が主体になる。授業の時間割は、週一回、1時限60分の授業を2時限連続で行っている。授業時間はほぼ、チームミーティングと各チームのプレゼンテーションに充てられる。
教室はフリーディスカッションができるよう、チーム用の楕円形テーブルを利用し、OHPやビデオデッキやカメラ、ビデオセンターのオンラインの検索機能、パソコンからの映像出力装置が充実している。テーブルに関しては、チーム全員が対面する方がディスカッションはしやすいが、円形にしてしまうと各人の距離が遠くなってしまう。そこで楕円形にすると、距離も近くディスカッションに集中でき、講義のときは片方によってもらうこともできるので、フレキシブルに使うことができる。
1.4.4.授業の内容
「工学設計Ⅰ」では、プロジェクトテーマの決定や調査方法の検討などを行う。その際、テーマの選定には以下の点を重視している。
- 公共性・社会性が高い
- 学生の興味と関心を尊重する
- 未解決な問題が多いこと
- 調査結果が定量的に示せること
- 評価しやすい内容にすること
実施したプロジェクトテーマの例としては、「安全な避難ルートの決定とその評価」「地震火災に対する消火対策」などがある。これをもとに、「工学設計Ⅱ」では調査結果の報告、ポスターセッションの実施、プレゼンテーション、レポートの提出を行う。
「工学設計Ⅲ」は、4年生全員を対象にしており、「卒業研究」の内容を改善すること、学生が自主的に動けるよう補佐することを目的にしている。本来は学生がテーマを提案し、教員と学生が共に進めていくのが望ましいが、教員主導になりがちになっているのが現状である。
1.4.5.学生に課せられる義務と教員の役割
学生には、設計活動のための義務とノルマとして、
- 週一回のチームミーティングの実施
- 週一回の担当教員とのミーティングの実施
- 一週間の活動内容を記したウィークリー・レポートの提出
- 成果をまとめた30ページ以上のファイナル・レポートの提出
が課せられる。
一方で教員の役割は、各チームの進行状況を把握し、週一回のミーティングをした上で、適切なアドバイスをするというコーチ役である。
1.4.6.成績評価
チーム活動を重視し、ウィークリー・レポート、ファイナル・プレゼンテーション、ポスターセッション、ファイナル・レポートを基準に、チーム評価として70点分を割り当てている。ただ、それだけだとさぼる学生も出てくるので、チームへの参画度合いを基準に、個人評価30点分を割り当てている。また、いくらチーム評価が高くても、個人評価が低ければ「不可」になるように調整している。
1.5.金沢工業大学の修学支援
1.5.1.学生が「自ら学ぶ」教育環境づくり
学生が一年300日24時間、先生や友達と自由に学び、議論し、情報を収集し、実験し、分析し、ものをつくり、発表し、コミュニケーションを楽しめるような大学であるように、金沢工業大学は特別な教育内容や環境の構築を行っている。
例えば、学生全員にノートパソコンを所持させ、学内に情報コンセントも充実させている。また、「夢考房」と呼ばれる自由工作空間を設け、自習室も24時間年中開放させて学生がいつでも好きに学べる空間を提供している。カリキュラムの面では、達成度別クラス編成を一部の科目で取り入れ、学生指導カルテも導入するなど、基礎学習のフォローをしっかりと行っている。
1.5.2.結果重視型からプロセス重視型への移行
平成17年度より定期試験を廃止し、結果重視型からプロセス重視型への移行を図っている。学生支援計画書(シラバス)には、学生が達成すべき行動目標や具体的な達成の目安を盛り込んでいる。
また、授業アンケートで書いた学生の行動目標達成度自己評価や、教員に対する改善要求は、Web公開されており、学生にフィードバックされる形になっている。そのため、教員の行動目標は、学生の満足度を向上させることになっている。
1.5.3.ポートフォリオレポート
学生には、一週間ごとに行動の履歴やその間の達成度自己評価を書き込ませる修学ポートフォリオをPC上で入力させ、履歴として残すようにしている。さらに、1~3年次生の学年末には、達成度評価ポートフォリオレポートを書くよう指導している。その内容は、以下の5つである。
- 今年度の目標と達成度自己評価
- 今年度の修学・生活状況の反省、およびその改善方法
- 希望進路とその実現に向けて実際にとった行動・成果・展望
- 「KIT人間力=社会に適合できる能力」に示された5つの能力の達成度自己評価
(「自律と自立」「リーダーシップ」「コミュニケーション能力」「プレゼンテーション能力」「コラボレーション能力」) - 次年度の目標とこれを達成するための行動予定
この自己管理・自己評価を通して気づきを引き出し、そこから意欲を出してもらい、自己変革につなげることで、自己実現ができる学生に育つことをねらいにしている。
1.6.まとめ:進むべき方向性・使命の確立と教職員による共通認識
現在、大学の教育改革に求められているのは、
- 大学全体(理事会、教職員)での組織的なFD活動への取り組み
- 内容とスピード:教職員による情報の共有と迅速な行動
- 多様な学習歴と多様な入試形態(教育の質と成果を保証し、学生・保護者・社会に対する説明責任を負う)
- 教員は教育を使命とし、研究は責務とする
- 職員はサポートからファシリテートへ:教職員一体型を目指す
の5つであり、大学は学生・教職員・理事会の共同体・協働体を構成しなければいけない段階に来ているのではないかと感じている。
2.事例紹介1:
「看護教育プロジェクト学習の実践事例:聖路加看護大学の取り組み」
森明子氏(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター 教授)
2.1.Problem-Based Learningとは何か
2.1.1.Problem-Based Learningの構成要素
Problem-Based Learningは、以下の3つの要素から構成されている。
- Problem-Based Learning
=具体的な問題または状況を設定した事例の活用 - Self Directed Learning
=学習者主体の自己学習 - Small Group Learning
=少人数のグループによる学習
また、類似した名称としては、IBL(Inquiry-Based Learning)やTBL(Task-Based Learning)があげられるが、本質的にはProblem-Based Learningと変わらない。
2.1.2.Problem-Based Learningの歴史
Problem-Based Learningは1960年代中ごろ、ヘルスケアニーズの変化に合わせて、カナダのマクマスター大学医学部にて開始された。臨床的な問題と基礎科学を統合して学び、講義を減らして学生の問いを発し、議論する機会を増やし、様々な問題に柔軟に対応する能力を育むことを目的に実施された。1993年にはWHO、World Bankが推奨する教育方法となっている。コミュニケーションスキルや不確かな問題に取り組む能力、さらには社会認知的な能力の育成に影響があるということがわかっている。
2.1.3.「科目内容に基づいた学習」と「Problem-Based Learning(問題に基づいた学習)」の違い
【科目内容に基づいた学習】
・知る必要のある事柄を告げられる
↓
・その事柄を学習する
↓
・その事柄の活用方法を説明するために問題が与えられる
【Problem-Based Learning(問題に基づいた学習)】
・問題(状況)が示される
↓
・知る必要のある事柄を確認する
↓
・それを学習する
↓
・それを適用する
2.1.4.Problem-Based Learningのステップ
- 問題や課題を確認する
- 自分がすでに持っている知識や経験を探す
- 仕組みや仮説を考える:解決に必要な、自分が習得していない欠如している知識を明確にする
- 学習ニーズの優先度を決定し、学習目標をたて、学習資源を検討する
- 自己学習し、グループ学習に備える
- 効果的に新しい知識を共有しつつ、それらをメンバー全員が学べるようにしていく
- 新たに獲得した知識を統合し、実際にやってみる
2.1.5.Problem-Based Learningの目的
臨床で役立ち、関連学問分野から統合される知識をより永く保持することが、Problem-Based Learningの目的である。
具体的には、以下のものがあげられる。
- 臨床における推理および問題解決の技能を開発する
- 人間関係技能およびチームメンバーとして働く能力を育てる
- 自立した、学習者主体の、クリティカルシンキングや学習の技能を開発する
- 患者のニーズのすべてに対する学生の感性を奨励する
2.1.6.Problem-Based Learningにおける教員の役割
教員は学習を促進する基本的な姿勢として、非指示的、学生中心を守り、講義はしない。また、効果的な発問や建設的なフィードバック、リソースや情報の紹介、表示、時間やプロセスの管理などをしなければならない。そして、グループの問題解決および批判的思考、効果的なグループ機能を促すようにする。
グループワーク初期の学生たちによく見られる特徴は、沈黙や気まずい雰囲気が漂い、不安な表情をし、互いの思いの探りあい状態になることである。また、誰かにリーダーシップをとって欲しい気持ちを持ったり、遠慮したり、人の意見を鵜呑みにする傾向がある。よって教員は、グループの中の個々の学生の学習を促すようにし、そのパフォーマンスを評価し、調整するようにしなければならない。
2.1.7.Problem-Based Learningの利点と欠点
【Problem-Based Learningの利点】
- 学ぶこと・教えることが学生・教員にとってより楽しい
- 学ぶ環境がより刺激的で人間味がある
- 自己主導の学習機能が高められ、保持される
- 見かけの学習ではなく、より深い学習を促す
- 学生と教師の相互作用を促す
- 基礎と臨床の科学との間のコラボレーションを促す
【Problem-Based Learningの欠点】
- 始動時、維持のコストがかかる
- 教員に時間的な負担が要求される
- 自己開示することや他のメンバーのペースに合わせることが苦手な学生にはストレスが大きい
- グループ運営に関して、教員の力量が必要になる
- 基礎科学の知識の獲得が不足する
- クラスの規模が大きいとき、意気込みがないと実施するのが難しい
2.2.聖路加看護大学でのProblem-Based Learning実践
2.2.1.「家族発達看護論Ⅰ」での実践
聖路加看護大学では、純粋な学部生が大体1学年70人ほどで、毎年20人ほど他大学からの編入を受け入れている。今回は「家族発達看護論Ⅰ」という3年生必修科目(4月から7月まで週2回、計45時間)でのProblem-Based Learning実践を報告する。この科目は、家族が子どもの誕生をめぐって変化し、新たな関係に移行していく時期に焦点を当てている。子どもを産み育む、家族が変化するという体験をしている個人や家族にとって、最良の健康を実現するために必要な看護とは何か、さらに、多様な価値観の中で求められる看護はどのように提供できるかを学ぶことを狙いとしている。
この授業は全体が45時間で、ガイダンスを1時間使って行う。授業で用いるシナリオは、大きく妊娠期・分娩期・産後期の3つに分かれていて、一組のカップルの生活をたどった経過となっている。チュートリアル中心に所々で講義を7時間挟んで行っている。特に「出産」は、学生にとっては日常から切り離されていてイメージがしづらいので、出産経験者の体験談を聞くようにし、実際に新生児室や分娩室の見学も行っている。
2.2.2.テュータ(教員・TA)の準備とサポート
テュータの存在はきわめて大切で、1グループあたり7~8人に対して1人のテュータを置いている。グループ構成人数を9人以上にすると、話さなくする学生がいるので、最大で8人に設定している。全体のグループ数は12グループなので、専任教員6名のうち2人は2グループを担当し、残りの4グループには博士課程の院生や外来助産師のTAを雇ってあてている。
テュータには年度初めにガイダンスを実施し、週2回の授業終了後に毎回担当グループの様子、学習の進行状態、グループ運営や学習指導上の意見交換や相談を行っている。
2.2.3.学習環境の準備
教室は、グループ数の活動を確保できる大きさで、電子白板を設置している。また、図書館では司書が「情報収集のコツ」という講義を担当し、指定図書や複数冊の購入にも対応できるようにしている。さらに、病院とも連携し、妊婦外来にProblem-Based Learningを説明し、支援の依頼をしている。また、助産師2名に演習を手伝っていただいてもいる。
2.2.4.教材・指導用資料
テュータと学生には、以下のものを配布・共有している。
- Problem-Based Learning学習の手引き
- シナリオ事例・情報シート
- 看護のまとめシート(一つの課題が終わった後に学んだ事柄を確認するための資料)
- リソースリスト
- 学習目標とテュータガイド(テュータ用)
- 評価表(学生自己評価表と、テュータ用学生評価表)
2.2.5.授業で学ばせたい原理
「妊娠期」のシナリオにおいて、学ばせたい内容は以下のようなものである。
- 妊娠はどうやってわかるか?
- 妊娠を維持するホルモンの名前や作用
- ホルモンの変化による妊娠初期の身体的変化について
- 妊娠のリスク要因
- 妊娠における心理状態の変化
- 妊娠に伴うライフスタイルの変化
- 妊娠や胎児の健康状態のアセスメント
- 妊娠に伴う不快症状の緩和の仕方とケア
2.2.6.評価方法
評価は、以下のような配分で行っている。
グループセッションの参加度(30%)
- 出席・遅刻・ルールの遵守
- 学習項目の抽出・課題の明確化
- 学習資源の活用
- 学習成果の共有など
筆記試験(70%)
2.2.7.Problem-Based Learningに対する学生の反応
Problem-Based Learningを行った学生からは、以下のような意見・感想が得られた。
【ポジティブな反応】
- 自分で調べたり話したりすると頭に残る
- 自分がわかっていないことがわかる
- 大事なところを抽出して伝えられるようになった
- 情報を取捨選択して判別できるようになった
【ネガティブな反応】
- 数多く資料に当たるとより学びになるとわかっていても、時間がない
- 話を聞くだけでフィードバックを返す、自分の意見を適切な言葉で表現することがなかなかできない
- 初めはどこまでやればよいのかわからなかった
- どのくらいわかっていないといけないのか、何を知っていればよいのか不安になる
2007年度の学生評価では、満足度は平均8.0点(10点満点)と概ね良好であった。中でも評価の高かった項目には、「新しい知見」「積極的参加」「さらに勉強」「関連学習」があり、逆に評価の低かった項目には「教授方法」「科目課題適切性」「教材活用」が含まれていた。
また、自由記述の中には、以下のようなものが見られた。
- グループにより内容にばらつきがあるので、まとめのプリントだけでなく、最後に答えになるような講義をしてほしい
- 結果的に包括的に学べないといった危険性に備えてテュータのアドバイス、誘導は大変重要だと思う。
2.2.8.まとめ:Problem-Based Learningを有効に展開させるために
Problem-Based Learningではテュータに対して、グループ運営やEBN(Evidence-Based Nursing)の思考や手法、効果的な発問やフィードバックをトレーニングすることが重要である。また、そのためにも教材やシナリオを「学習項目発見型」から「問題解決型」にして、テュータが学生の学習を促進させやすくする必要がある。さらに、科目の教授目標を、知識を看護計画立案に活用する段階まで進めるように設定する必要性を感じている。
3.事例紹介2:
「プロジェクト学習を支援する概念とツール―デザイン系プロジェクト学習実践事例からの提案―」
八重樫文氏(立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート 准教授)
3.1.立命館大学における「プロジェクト学習」の実践
立命館大学における「プロジェクト学習」の実践紹介として、「環境・デザイン実習」「プロジェクト研究」の2つの授業について、実際に受講した学生を直接交えながらお話しする。
3.1.1.「環境・デザイン実習」の概要
この実習は、環境・デザイン両分野のフィールドでの調査・実習を通して、問題発見から収集情報の解析・分析、そして問題解決に向けた提案に至る基本的なプロセスを体験することを目的にしている。履修者は、環境・デザインインスティテュート(経営学部・経済学部・理工学部の連携組織)に所属する大学2回生〜4回生15名であり、1グループ2~3名の6グループに分けて行った。2008年度前期(4月~7月)に、全体で15回実施した。教員は、環境系とデザイン系の2名が担当した。
課題内容は、「自分たちの生活環境の中で問題点を見つけだし、自らの調査分析に基づきプロセスを踏まえて、その解決策を適切な方法論にそった説得力ある説明とヴィジュアルな表現を用いて分かりやすく提案してください」というものである。
3.1.2.課題の進め方
1グループをコンサルティング/デザイン/リサーチ会社とみなし、グループワークを進めた。各グループに1名ずつTAまたはES(Education Supporter:学部生のテュータ)をつけ、「管財人」のような役割として位置づけている。進行において、他のグループのTA/ESから2名以上+教員2名からOKをとった企画でないと、最終プレゼンに進めないかたちをとっている。
3.1.3.評価の観点
授業開始時に、評価の観点として以下の5つを提示し、最終的にもこの観点から学生たちが相互評価を行う。
- 企画力
→アイデアの新規性・ロジック創造力 - 調査分析力
→アイデアの裏づけや・ロジックの裏づけ・実現性の裏づけ - 認識理解力
→技術仕様・社会背景・学術的背景・研究方法論の理解 - 統合力
→収斂的思考力(論理的一貫性の強固さ)・対象者を十分に把握し意識しているか - プレゼンテーション力
→造形表現力・メディア表現力・演技・演出力
3.1.4.設定されたテーマ
学生たちが実際に設定したテーマは、以下のように身近な環境における問題があげられている。
- 生協マンションの共有スペースの内装設計提案
- 食堂座席の回転率改善の為のデータ採取
- JR沿線の騒音問題の解消について
- 食堂の混雑緩和対策
- 学生の節水意識の向上への取り組み
- 農地へのゴミの不法投棄に対して効果的な看板の提案
3.1.5.学生による実践の紹介
「環境・デザイン実習」を受講した学生に、実際にその取り組みを紹介してもらう。
松尾祐介さん(立命館大学 経済学部 環境・デザインインスティテュート)
取り組みの内容
私たちは「waffRe:」という会社を設定し、「農家の味方であること」、「温かい会社を目指します」という2つの理念を掲げた。活動内容としては、農地へのゴミのポイ捨てを削減することにより、ポイ捨てによって発生する農業経営者の労力削減を目指している。今回は、ゴミのポイ捨てを減らすための看板を作成するという提案を行った。
具体的には、先行研究の調査、実地調査、実提案の検討、提案内容の評価、プレゼンテーションを行った。授業時間外にも打ち合わせを行ったり、実際の企業に協力をお願いすることもした。
苦労したこととその克服方法
メンバーの時間が合わないなどの苦労はたくさんあったが、何より感じたことは、自分たちが企業として活動するにあたっては、クライアント(農業従事者など)からの受注が必要であり、企画の実施にあたってクライアントの理解を得ないといけないという点が1番難しかった。どうやってその理解を得たかというと、まず問題の本質を把握し、クライアントが求める利益をゴールに設定する。そうして、自分たちの論理に一貫性を持たせた解決策を構築するという方法を実践した。
この授業での成果
実社会において企画提案を進めるための一連のプロセス(問題の設定、ゴール設定、解決策の構築)をデザインする能力が身についたと考える。また、自分たちに解決策を構築する際のツール(知識や方法論など)が貧弱であることや、メンバーで時間を合わせることの難しさなど、たくさんの「気づき」があったことが良かったと思う。
この授業を通して、通常の講義形式では得られることのできないもの(アイデアの出し方や、ブレストの進め方などの企画提案方法など)を得ることができ、企業として活動する設定だからこそ真剣に取り組めた。そして、もっと良い成果を出せたのではないかという向上心も、この授業で得られた成果だと思う。
3.1.6.「プロジェクト研究」の概要
この授業では、学生が主体的にプロジェクトを企画・立案・実行し、コミュニケーション能力や異文化理解能力に加えて、マネジメント能力を涵養することを目的にしている。経営学部国際経営学科と経営学科の2・3年生10名程度を対象に、昨年の4月から継続して行っている。
3.1.7.学生による実践の紹介
「プロジェクト研究」を受講している学生に、実際にその取り組みを紹介してもらう。
友近結理奈さん(立命館大学 経営学部 国際経営学科)
「英日合作映像プロジェクト」の企画概要
私たちは、この授業の中で「英日合作映像プロジェクト」を立ち上げた。国際化が進む中、多様な価値観、思考、生活習慣などが文化によって異なることを理解し、心の触れ合いによる真のコミュニケーションが必要だと感じ、映像によってより多くの人にメッセージを伝えることを目的にしている。また、この企画は英国大使館主催の「UK-JAPAN2008」の公認イベントになっている。
企画の進め方
まず私たちがプロデューサーになり、京都造形芸術大学とロンドンカレッジ・オブ・コミュニケーションがコラボレートしながら映像制作を行い、それを展開していくというプロジェクトである。この企画では、日本の学生とイギリスの学生が交流する場として、「Second Life(3Dアバターによるオンライン上のコミュニケーション空間)上の場所(ベネッセコーポレーション提供)」を利用している。完成した映像は、立命館大学の学園祭で公開される予定である。
苦労したこと
まず、新しい問題に直面したとき、どうしたらよいかわからず不安だった。企画書なども作ったことがなく、いろいろな人に助けてもらいながら行った。また、メンバーのモチベーションをコントロールすることにも苦労した。そして、コミュニケーションの難しさを知った。
授業を通して得たこと
この授業を通して、リーダーシップ、学ぶ姿勢、コミュニケーション能力を身につけることができたと思う。また、プロジェクトを進める中で自己分析ができ、他のどの授業よりも自分を成長させることができたと感じた。自分の欠点も発見でき、それを補おうと努力するようにもなった。
3.1.8.2つのプロジェクト学習実践の位置づけ
「環境・デザイン実習」では、授業を通して学生自身が不足している知識や学習を発見することで、今後の大学での学びの接続に重点を置いている。この点で、「入り口としてのプロジェクト学習」となっている。
一方、「プロジェクト研究」では、実社会でのプロジェクトを進行させるなかで、社会的なスキルを身につけることを目的としており、実社会への接続に重点を置いている点で、「出口としてのプロジェクト学習」となっており、「プロジェクト学習」でも性質の違うものになっている。
3.2.デザイン教育の特徴
これまで紹介した2つの授業を含む、私の担当している「プロジェクト学習」の授業は、「デザイン教育の特徴」を取り入れたものになっている。
3.2.1.デザイン教育のイメージと実際
一般的に「デザイン教育」は、色の使い方やかたちの作り方を個人作業として黙々と行うイメージが強いのではないかと考える。しかし、デザインの実務は個人で完結する技能ではない。色々な人との関わりの中でデザインの作業が進められていく。そのため、デザイン教育では、これまで協調的な経験を促すためのグループワークが多く取り入れられている。
3.2.2.デザイン教育の特徴
デザイン教育の特徴的要素として、アトリエ的学習空間になっているために他者の状況が常に開示されており、そこでの様々なインタラクションが共有される、プレゼンテーションやポスターセッションなどを積極的に設けることで、何を学び、何を試みたのかを学習者が反芻することができる、ポートフォリオを制作することでプロセスを記録し評価に利用できるという点があげられている(美馬・山内2005)。
また、デザインの教育では答えが設定されていないために、学習者が試行錯誤を繰り返してものごとを作り出すことが可能であったり、アイデア・発想・制作が全てクラスの共有物であるという了解のもとで思考を増大させていけたり、成果として作品を実際に作り出すことで、他者が関わることのできる社会的な活動の対象になりうるという特徴もある(須永1998)。
以上から、デザイン教育の特徴をまとめると、以下の2つに集約される。
- 問題自体を学習者自身が探求する形態をとる
- 活動の成果物のみではなく、そのプロセス自体が常に他者と共有できるような環境を実現している
3.3.PBL支援システムの開発
授業実践の一方で、「プロジェクト学習」を支援するための、Webや携帯電話を利用したシステム開発を行っている。そのシステムにおいても「デザイン教育の特徴」を積極的に利用することを考えている。
3.3.1.高等教育におけるプロジェクト学習実施の問題点
高等教育における「プロジェクト学習」実施の問題点として以下の2つがあげられる。
- 時空間的な制約(西森ほか2005)
高等教育においては、授業時間内における学習者間の対面機会は確保されているものの、初等中等教育に比べて履修科目や行動が学習者間で統一されないため、授業時間外に対面でグループワークを行う時間は制限されてしまう。 - 社会的手抜き(亀田1997)
メンバーが手を抜いてしまったり、一人に過剰な負荷が生じたり、意志決定に長い時間を要してしまうことがある。
3.3.2.ProBoとPBPの開発
これらの問題に対して、学習者が分散環境でも効果的にグループ学習活動を進められるように、「プロジェクト学習」を支援するWebグループウェアProBo(http://pb.nime.ac.jp/から無料ダウンロードが可能)を開発した。
また、現在大学生のほとんどが所持し、場所・時間を問わず特別な意図がなくても操作・閲覧することが多い携帯電話の待ち受け画面に着目し、ProBoと連動してリアルタイムに自グループ内の分業状況や作業進行状況を携帯電話の待ち受け画面にて常時確認できるソフトウェアPBP(ProBoPortable)を開発した。
3.3.3.ProBoとPBPの改良
ProBoとPBPを大学授業で利用した結果、学習者自身が所属するグループの分業見直しや学習共同体意識を高めることにおいて有効性が示された。しかし、積極的に他グループの活動を参考にして、その情報を役立てながら活動を進めていたのは一部の学生に限られていた。
そこでさらに、学習者が、クラス全体および他グループの活動を意識して、グループ作業を円滑に進められるような機能を検討し、ProBoとPBPの改良を行った。新たに追加した機能には、デザイン教育の特徴である「プロセス自体が常に他者と共有できるような環境」を取り入れた。
3.3.4.改良したProBoとPBPの評価
改良したProBoとPBPを大学授業で利用したところ、学習者に対し,他グループから常に見られていることで自グループの作業への意識を高め、自分の作業の調整を促進する効果が示された。
しかし、この実装機能では、自分のグループの活動において、他グループの情報を具体的に取り入れたり、他グループへの能動的なコンタクトの促進は示されなかった。今後は、自グループと他グループが積極的に相互に情報交換を行い、クラス内でのインタラクションを高められる機能を検討することが課題である。現在、ProBoのフル機能を携帯電話から利用できるシステムを開発している。
4.パネルディスカッション
パネラー
久保猛志氏(金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 教授)森 明子氏(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター 教授)
八重樫文氏(立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート 准教授)
司会
山内 祐平(BEATフェロー/東京大学大学院情報学環 准教授)(パネルディスカッションの前に、参加者が数人でまとまり、パネラーへの質問をディスカッションする時間が設けられた。質問は用紙にまとめられ司会に提出された。)
まず、久保先生に対して、産業界とのつながりに関して、「プロジェクト学習」を通して就職に結びつけるような試みはあるのでしょうか? という質問が来ています。いかがでしょうか?
久保:就職そのものに結びつくような特別なサポートはしていない。ただ、希望する一部の学生に対しては、インターンシップという形で企業に行かせて、金沢工業大学に帰ってきたとき、その企業の一員としてどういう成果を挙げたのかを発表させるプログラムを組んでいる。
では、次は森先生にお答えいただきたいのですが、教員を初め、TAや補助をする人たちの質はどう保つのでしょうか? 現在の実践に加えて、もっとこうしたら良くなると考えておられるアイデアなどはありますでしょうか?
森:最初の頃は学生数が少なくテュータは教員のみや少数のTAで足りたのだが、次第に学生数が増えてきたためにTAを複数雇うようになった。学生の声を聞くと、TAの質を重視しないといけないとわかった。よって、TAの事前研修を以前より時間をかけてやったり、途中のプロセスのサポートを手厚くするといった形で補っていこうと思っている段階である。
では、八重樫先生にお答えいただきたいのですが、「プロジェクト学習」では、学習者のモチベーションがかなりのキーだと思います。モチベーションが高い学生はよいが、履修者が全員そうではないのが普通だと思います。そこでモチベーションが低い学生にはどのようにアプローチすればよいのか? という質問があります。いかがでしょうか?
八重樫:「プロジェクト学習」の特徴として、教員は具体的な指示をしないというものがある。逆にその特徴を利用し、うまく「プロジェクト学習」に馴染めない学生に対しては、個別に少しだけ具体的なアドバイスをしたりヒントを与えると、学生との信頼関係が築け、その学生が発端となってグループの活動がうまくいったり、馴染めたりするようになるのではと思っている。
では次に、このような「プロジェクト学習」を経験した学生の卒業後はどうなっているのか? 「プロジェクト学習」だけでなくても、大学教育の成果で、卒業生がうまく社会とつながった例があれば、教えていただけますでしょうか。
久保:実際に卒業者のコメントをもらったことはないが、在学時、卒業時、卒業後、受け入れた企業に対するアンケートは取っている。それらを見ると満足度は高い傾向にある。
森:「プロジェクト学習」に特化した調査というものは私のところもまだ実施していないが、聖路加看護大学の卒業生がどう評価されているかということは、もちろん調査している。それによると、うちの学生は卒業したばかりでは即戦力になりにくいが、半年くらい経つと、伸びてくるという評価をもらっている。また、感性が非常に豊かという良い評価ももらっている。
たくさんあった質問なのですが、「プロジェクト学習」の評価の問題はどうか? もちろんみなさんそれぞれ評価方法を示していただきましたが、本当にそれで十分なのでしょうか? 他に良いアイデアはあるでしょうか? また、他の教科の評価との関連性はどう担保されているのでしょうか?
久保:「プロジェクト学習」では、講演で話したように、個人とグループなどできるだけ多角的に見るようにしている。問題は、点数に表れないものをどうしようかということである。ディスカッションやコメントによる評価を何とか入れられないかと思っているが、まだうまくいっていない。
他の科目との関わりについては、各科目で目標とする能力をあげ、総合的に評価することを考えている。
森:どこまで何を求めるかによって評価は変わってくると思うが、もう少し実践的なものを取り入れるということが必要かと考えている。そのためには当然、実技的なものも取り入れようと思っている。
現在、私たちの実践ではグループを30%、筆記試験を70%としているが、どうして筆記がそんなに比率が大きいのかということに対して、その割合をどうしようかということはいつも考えている。
八重樫:「プロジェクト学習」では、授業時間以外、教員がグループ活動を見ていることは多くない。だから、教員だけが評価するということはたぶんできないと考える。グループ内で、誰が苦労していたとか、誰ががんばっていたか、またクラス内でどのグループがよくやっていたか、ということは学生たちがよく感じているはずなので、できるだけ教員に評価の重みをおかないで、相互評価と自己評価に重点を置く形にしている。
また、最初に全員が共有できる評価軸を設定しておく必要があると考えており、実践の最初に評価内容を明らかにしクラス全体で共有することに努めている。
「プロジェクト学習」では、学生の負担もかなり大きいですが、教員の負担も非常に大きいと思います。そこで、やりたくない教員にも広めていくためにはどうすればよいのか? もしくは現在やっている際の悩みはどのようなものか? いかがでしょうか?
久保:スタートの段階から、複数の教員で密に話し合いながら作ってきた。アメリカの視察も行った。そのような色々な人たちが関わり体験を共有していくなかで、コアミーティングができて、指導書の作成もできた。このように、複数の人々が関わり作業を進めていくことが重要であったと考える。
また、要望があったこともあり、2種類のマニュアルを作成した。ひとつは教員用の指導マニュアルで、アドバイスのポイントなどをまとめたものである。もうひとつは学生への実施マニュアルで、それをきちんと読んでやっていけば、それなりの成果が出るようにした。そうすることで、誰でも実施できるような体制を取ってきたと考える。
森:聖路加看護大学にも、やはりPBLを好む先生と好まない先生がいる。後2年で新しいカリキュラムに変わるということもあるので、そこでもう少し取り組んでいってもらいたいという気持ちがある。これまで実施してきた先生同士でプロジェクトを組むなど、今までやってきたことを納得してもらえるようなかたちに整えていく必要があると思っている。
八重樫:まず基本的なスタンスであるが、私は大学授業全てが「プロジェクト学習」になればよいとは思っていない。各先生が、その専門分野や授業内容に沿ったアプローチを選べばよいと思っている。私は「プロジェクト学習」が得意だが、講義が得意な教員がいて当然良いと思う。重要なのは学習内容を考える際、どのような形態がよいのか、教員がそれぞれ得意な方法を提示しあい、お互いに意見交流したり、アドバイスしあったりすることだと思っている。
ありがとうございました。今回、事例報告をしていただいて、少なくとも一部では「プロジェクト学習」が成功しているということは確認できたと思います。ただどうやってこれを広めていくかが課題であると思います。
私が今回のセミナーで一番心配したことは、「プロジェクト学習」は旬ではあるけれども、人が集まらないんじゃないかと思った点です。10年前は、誰も「プロジェクト学習」などと言っている人はいなく、まともに教えるだけでも大変でした。だから、ここ10年で大学を取り巻く環境は激変していると改めて確認できました。そして、名前は付けていないけれども、何か「プロジェクト学習」のような実践をしている人は今増えてきていて、たぶん今100人に1人くらいはこういうことをやっていきたいよねと言っている段階ではないかと思います。
私も「プロジェクト学習」が100%優れたカリキュラムだとは思っていません。むしろ、実践したことがある人はわかると思いますが、「プロジェクト学習」はものすごく大変なので、大学での授業全てがこれになったら学生は音を上げると思います。プロジェクト学習の割合は、上限でも30%くらいで大学生はもう手が一杯ということになると思うので、まあ10%くらいでもまともに「プロジェクト学習」が行われれば、大学の雰囲気はガラッと変わるのではないかと思っています。
今回、色々な領域や大学で「プロジェクト学習」の個性が出てきていることがわかりました。逆にどんどんコミュニティごとに個性を出していってよいものだと思います。10年後、大学で個性豊かな「プロジェクト学習」が10%達成できるのを楽しみにしています。その時はまた、同窓会のようにこのメンバーで集まれたらいいなと思います。本日はどうもありがとうございました。

プロジェクト学習が大学を変える
BEAT(東京大学情報学環 ベネッセ先端教育技術学講座)では、BEAT Seminar「プロジェクト学習が大学を変える」を開催いたします。
近年、大学卒の人材は、専門的知識や思考力に加え、実践的な能力(コミュニケーション能力やプロジェクト遂行能力)も求められるようになってきています。大学でこれらの能力を育てるためには、どうすればよいのでしょうか。
その答えの一つとして、プロジェクト学習が注目されています。プロジェクト学習はグループで課題について議論を行い、その解決策を提案する作業を通じて、学習内容について理解を深めると同時に実践的な能力を育成する方法であり、ここ数年日本でも取り組みが増えてきました。
前回の号外では看護教育とデザイン教育の、2大学における事例報告をご案内しましたが、工学教育の事例もご紹介できることになりましたので、スケジュール変更を兼ねまして、お知らせいたします。
今回のBEAT Seminarでは社会で活躍できる人材を育成するためにプロジェクト学習を行っている大学の教員をお招きし、プロジェクト学習の成功の鍵について議論したいと考えています。
みなさまのご参加をお待ちしております
午後2時より午後5時まで
情報学環・福武ホール(赤門横) 福武ラーニングシアター(B2F)
山内祐平
(東京大学大学院 情報学環 准教授(BEAT併任))
2.事例紹介 14:05-16:15(休憩適宜含む)
●基調講演:工学教育におけるプロジェクト学習の実践事例:
金沢工業大学の取り組み
久保猛志氏
(金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 教授)
●事例紹介1:看護教育プロジェクト学習の実践事例:
聖路加看護大学の取り組み
森明子氏
(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター 教授)
●事例紹介2:プロジェクト学習を支援する概念とツール
〜デザイン系プロジェクト学習実践事例からの提案
八重樫文氏
(立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート 准教授)
3.参加者によるグループディスカッション 16:15-16:30
4.パネルディスカッション 16:30-17:00
『大学におけるプロジェクト学習・その成功の鍵は?』
司会:山内祐平
パネラー:
久保猛志氏
(金沢工業大学 環境・建築学部 建築系 教授)
森明子氏
(聖路加看護大学 看護実践開発研究センター 教授)
八重樫文氏
(立命館大学 経営学部 環境・デザインインスティテュート 准教授)
BEAT Seminar Report
2009年度のBEAT Seminar Report
- 第3回:モバイルARが拓くPlace Based Learningの世界
2009年12月5日 - 第2回:日本の教育×オープンイノベーション:世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して
2009年9月5日 - 第1回:2015年の学習環境を考える
2009年6月6日
2008年度のBEAT Seminar Report
- 第4回:BEAT 特別セミナー
教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来
2009年3月28日 - 第3回:アートワークショップで子どもの可能性をひらく
2008年12月6日 - 第2回:プロジェクト学習が大学を変える
2008年9月6日 - 第1回:あなたに「ぴったり」な学びをかなえる技術ー教育における協調フィルタリングの可能性を考えるー
2008年6月7日
2007年度のBEAT Seminar Report
- 第4回:BEAT 特別セミナー
未来の教育のために学校と家庭ができることーフィンランドと日本の対話ー
2008年3月29日 - 第3回:子どもの放課後学習環境
2007年12月1日 - 第2回:BEAT 特別セミナー
オープンエデュケーションが切り開く未来—Education 2.0:OCWの次にくるもの—
2007年8月25日 - 第1回:知育玩具ー創造的制作活動をアフォードする人工物
2007年6月2日
2006年度のBEAT Seminar Report
- 第9回:BEAT 特別セミナー
モバイル・ユビキタス技術と学習環境
:BEAT3年間の研究を総括する
2007年3月27日 - 第8回:子どもとネットコミュニティ
2007年1月13日 - 第7回:健康とICT
〜Web2.0で健康に?!〜
2006年12月9日 - 第6回:BEAT 特別セミナー
学習科学とICTは学びのあり方を変えるか
ー高等教育の変革を事例としてー
2006年11月11日 - 第5回:イマドキ・キッズの遊び場、学び場
どのようなチルドレンズミュージアムを創るか?
2006年10月7日 - 第4回:学校の枠を超えた交流学習:
伝え合うことで"異文化"を学ぶ子どもたち
2006年9月2日 - 第3回:ゲーム・ルネッサンス:いつか来た道、これからの道
2006年8月5日 - 第2回:Web2.0で創る『みんながちょっとずつ頭がよくなる世界
2006年6月24日 - 第1回:『かわいい子にはケータイを持たせよ?!』
キャリア各社の子ども向けケータイサービスへの取り組み
2006年5月20日
2005年度のBEAT Seminar Report
- 第12回:BEAT 特別セミナー
2005年度 研究成果報告会
2006年3月25日 - 第11回:「新しい評価技術とデジタル教材での活用」
2006年2月11日 - 第10回:「使える英語を身につけたい!:語学学習を支援するデジタル教材のこれから」
2006年1月7日開催 - 第9回:「Aクラス人材を育成せよ:企業eラーニングの現在」
2005年12月3日開催 - 第8回:「CAI/WBT」
2005年11月12日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
「ヨーロッパ・モバイル放送の現状と教育利用の展望」
2005年10月 1日開催 - 第6回:BEAT 特別セミナー
「教育における知的所有権・その現在と未来」
2005年 9月 3日開催 - 第5回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
シミュレーション
2005年 8月 6日開催 - 第4回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
魅せます、CSCLのすべて:1日でわかる協調学習
2005年 7月 9日開催 - 第3回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
インタラクティブ学習環境「Logo」
2005年 6月 11日開催 - 第2回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
「人と森林」「マルチメディア人体」
2005年 5月 7日開催 - 第1回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
ミミ号の航海と合衆国マルチメディア教材の系譜
2005年 4月 2日開催
2004年度のBEAT Seminar Report
- 第8回:BEAT 特別セミナー
Emerging learning technology in education
姿をあらわしはじめた 新しい学習テクノロジー
世界最先端の現場から
2005年 3月 5日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
プロジェクト成果報告会
2005年 2月 5日開催 - 第6回:DoCoMoモバイル社会研究所 共同企画
ケータイ・ネット・テレビ
〜メディアとこどもの今とこれから〜
2005年 1月 8日開催 - 第5回:「モバイルする!? 科学教育」
2004年12月11日開催 - 第4回:「モバイルコンテンツとインストラクショナルデザイン」
2004年11月 7日開催 - 第3回:「ヨーロッパ・m-learningの現在」
2004年10月 9日開催 - 第2回:「"ケータイ"と教育の未来」
2004年 9月 4日開催 - 第1回:「地上デジタル放送の教育展開」
2004年 7月 3日開催
