「ゲームを教育現場に利用しよう」というアイデアが近年注目されています。教育業界では、古くは「エデュテインメント」、さらには「Constructionisim in play」など、様々な関連概念が、これまで主張されてきました。最近は、シリアスゲームという概念で、様々な教育用ゲームが開発されています。
シリアスゲームは、これまでのゲームとは何が違うのか。そして、そこにはどのような可能性が開けているのか。
「流行としてのゲーム」に流されず、その本質を見極める「慎重さ」と、それでいて、よいところは教育に積極的に活かす「貪欲さ」をあわせもつことが重要かもしれません。
今回の公開研究会のテーマでは、シリアスゲームの現状と課題、ゲームの教育利用事例などについてのお話を伺いました。
1.「シリアスゲーム:コンセプト,事例とその展開」
ペンシルバニア州立大学博士課程
「シリアスゲームジャパン」 コーディネーター
藤本 徹氏
http://anotherway.jp/seriousgamesjapan/
1.1.シリアスゲームとは −定義と構図
1.1.1.シリアスゲームの定義
シリアスゲームとは、教育をはじめとする社会の諸領域(政治、医療・健康、公共教育、学校教育、企業内教育、社会教育、軍事ビジネスなど)における、教育・学習、コミュニケーションの諸問題解決のために利用される、デジタルゲームである。
1.1.2.シリアスゲームの基本的スタンス
- エンターテインメント以外の用途にデジタルゲームが利用可能で、社会的な問題解決に有効である。
- 教育だけでなく、教育以外の用途にもゲームが利用できる。
- ゲームソフトウェアの開発だけでなく、その利用方法の開発も同時に重要である。
1.1.3.シリアスゲームの範囲
- エンターテインメント以外の目的でのゲーム利用
- 教育のためのゲーム利用
- 「アドバゲーム(広告のためのゲーム)」と「子供向け教育用ゲーム」を除いた非エンターテインメント用途のゲーム
- エンターテインメントゲーム開発のノウハウを活かしていること
- 「全てのゲームはシリアス(ゲーム)だ」
以上のように、範囲のとらえ方は様々であり、主体によって異なる。
1.1.4.「これはシリアスゲームかどうか?」の判断基準
利用・開発の「意図」の存在の有無との関係
| 利用意図なし | 利用意図あり | |
| 開発意図なし | 一般的なゲーム | シリアスゲームプロジェクト |
| 開発意図あり | シリアスゲームの娯楽的利用 | シリアスゲーム |
- 「○○で遊ぶと、□□が学べるので、授業で利用した」
→シリアスゲームプロジェクト(開発意図なし・利用意図あり) - 「脳を鍛える」、「〜が学べる」と謳ったゲーム
→シリアスゲーム(開発意図あり・利用意図あり) - 「○○で遊んだから□□が学べた」
→「全てのゲームはシリアス(ゲーム)だ」と考えればシリアスゲーム。
(すべてのゲームは、「開発意図あり・利用意図あり」と考えることもできる。)
1.2. これまでの教育ゲーム研究・開発と何が違うのか
1.2.1.これまでのゲーム研究・利用
- 「エデュテインメント」
- 子供向けマルチメディア教材が中心
- コンセプト先行で教育技術・方法論が追いついていなかった
- 「シミュレーション&ゲーミング研究」
- 周辺的な位置づけ
- 分野間の連携が弱い
1.2.2.ゲームが教育の場でウケない10の理由
- 「エデュテイメント」時代、多くのコストをかけたわりにささいな成果しか得られなかった。多くの人はインチキな売り文句にだまされたと感じている。
- 多くの「教育用」ゲームは「チョコレートで包んだブロッコリー」。表面は甘いけど、中身は味気ない。
- 利用する教師やスタッフの多くは、いまだIT機器に不慣れで使いこなせない。
- 教師や親の多くは、マスメディアの影響からゲームの有害性への不安を持っている。
- 多くのゲームは、操作方法やその世界観に慣れるまでに時間を要し、授業での利用が困難。
- 面白いゲームは、教育用途には正確さが不十分。正確なものは逆に退屈。
- ゲームの有効性を示す研究が十分でない。
- シミュレーション・ゲームでコストが抑えられるのは、教育・訓練コストの高い分野である。
- 本格的にゲームを利用した教育は、大きな教育システム変革が必要となるが、そのリーダーシップがとれる人材はほとんどいない。
- 優れた教育用ゲームは、教育の主流として認識されていない。
1.2.3.シリアスゲームの新しさ
- 分野・業種を横断したコミュニティの形成(研究・実践のコミュニティ)
- 社会的要請に対応したソリューションとして機能
- エンターテインメントゲームのノウハウを積極的に利用
1.3.シリアスゲームの展開 −シリアスゲームを軸とした問題解決
1.3.1.シリアスゲームが起こしたコミュニティの変化
シリアスゲームというコンセプトによって、これまでに連携がなかったユーザー、スポンサー、研究者、開発者、教育者のコミュニティが集結され、ノウハウの共有や人的交流が促進されている。
1.3.2.シリアスゲームへの社会的要請
- ユーザー側:
- 「ゲーム世代」の成長
- 教育課題の多様化・複雑化
- 開発者側:
- エンターテインメントゲーム市場の飽和
- 大作志向でない市場開拓の必要性
1.4.シリアスゲームにはどんなものがあるのか? −分野別・タイプ別のシリアスゲーム
1.4.1.シリアスゲームの分類
分野ごとのカテゴリー:
- ビジネスゲーム(企業ビジネス関連のシリアスゲーム)
- ミリタリーゲーム(軍事関連のシリアスゲーム)
- ゲームズ・フォー・ヘルス(医療健康分野のシリアスゲーム)
- ゲームズ・フォー・チェンジ(社会変革のシリアスゲーム)
用途ごとのカテゴリー:
- エデュケーショナル/トレーニングゲーム
- アドバゲーム(広告用途のシリアスゲーム)
- パーシュエーシブゲーム(訴求用途のシリアスゲーム)
1.4.2.シリアスゲームのオンライン事例集
Social Impact Games: ジャンル別に200以上のシリアスゲームの事例を集積
http://www.socialimpactgames.com/
1.4.3.シリアスゲームの事例
- 選挙キャンペーンのシリアスゲーム
Dean for Iowa vs. Felipe Calderon (Mexican) - 公共サービスのシリアスゲーム
電気のちから vs. Water busters - 反戦メッセージ伝達のシリアスゲーム
Durfur is Dying vs. September 12 - 企業アンチのシリアスゲーム
McDonald‘s Video Game vs. Disaffected! (Fedex Kinko's) - 起業教育のシリアスゲーム
Hot Shot Business vs. 私の夢★銀行
注:これらは分野別にどのようなゲームが開発されているかを示すものであり、必ずしも優れたシリアスゲームデザインの例として取り上げているものではない。
1.5.シリアスゲームの今後の展開
1.5.1.開発プロジェクトを通した人材育成・問題対応
クライアント・スポンサーがリアルな課題を教育機関に提案し、開発者予備軍である学生にコース課題として出題することによって、問題に対応したシリアスゲームの提案をするコースプロジェクト型、またはコンペ型の開発体制が考えられる。
1.5.2. 多人数参加型オンラインゲーム(MMOG)への展開
- 各ゲーム界での研究が進む
- リネージュ1&2(Steinkuehler, 2004)
- エバークエスト(Kelly, 2004; Taylor,2006)
- スターウォーズギャラクシーズ(Ducheneaut & Moore, 2004)
- ワールド・オブ・ウォークラフト(Delwiche, 2005)
- A Tale in the Desert(藤本, 2005)
- 大航海時代オンライン(藤本, in progress)
- セカンドライフでの教育実験
- バーチャルキャンパスの設置
- 大学の授業での利用
1.5.3.What's going on?
- ゲームデザインによって状況に組み込まれた学習
- プレイの自由度の高さ(非単線的な学習プロセス)
- 協力が不可欠な仕掛け
- プレイヤーの参加を促す仕掛け
- ゲーム内イベントの自主運営
- コミュニティ内のメンターシップと相互学習
- 資源の共有や共同作業
- 自発的な情報蓄積・共有
- コミュニケーションツールによる支援
- Wiki、オンライン掲示板、チャットを使い分けた情報活動
1.6. eラーニング” との違い
| eラーニング | MMOG | |
| 学習環境 | 単線的、学習者は同じプロセスをたどる | 非単線的、学習者が興味やレベルに合わせて選択 |
| 学習環境デザイン | 提供者側がコントロール、学習者側は受動的 | 学習者が提供者へ改善提案する仕組み |
| 学習スタイル | 提供者側が用意した教材を指示に従って利用 | 共同作業、アート制作やイベントなど、プレイヤーの自由度高い |
| インストラクター | 提供者=教える側 参加者=学ぶ側 |
その知識に長けたプレイヤー(参加者間の相互学習) |
| コミュニティ運営、 ファシリテーション |
インストラクターやTAなど主に提供者側 | プレイヤーコミュニティの先輩や上級者(提供者側はお膳立てのみ) |
2. 「TARA-REBA eラーニング−シミュレーション型ゲーム教材の事例紹介」
(学)産業能率大学 総合研究所 e-Learning開発センター
古賀暁彦氏
2.1.イントロダクション
2.1.1.開発の経緯
一昨年、個人情報保護法施行に伴い、その教育のためにeラーニングが多くの企業で使われるようになった。同じ教育を一斉に受けさせることができ、しかも低コストだからである。確かにeラーニングのメリットは生きているが、そのフォーカスが質的な面より量的な面に当てられていることを危惧している。そこで、質を追求することによるeラーニングの付加価値向上を目的に、シミュレーション型の「TARA-REBA eラーニング」を開発した。
2.1.2.100の理論より1つのデモコンテンツ
企業内教育を考えた場合、企業内には学習理論に精通した人がいないので、いくら「インストラクショナル・デザインできちんと作ったコンテンツです」と言っても理解してもらえない。実物がないことには「ページ単価いくら」といった世界からの脱却は不可能である。
2.1.3.SDWSの発足(Senario Design Workshop)
SDWSではプロトタイプの教材を作ることを目的としている。それによって、新しい教育工学の知見に基づくe-learningコンテンツを開発することによる、産能ブランドの向上を目指している。受講者数やコース数といった量的認知ではなく、質的認知によるブランド力向上を目指す。また、個々のスタッフの属人的な力量ではなく、組織として質の高いコンテンツを継続的に開発できる体制を築くことを目的としている。
2.2.「TARA-REBA eラーニング」の見所
- ゴールベースドシナリオ
プログラム学習ではないものを考えていった結果、ゴールベースドシナリオの学習になった。 - 主体的なシナリオへの介入:「強制分岐」と「介入型分岐」
- 「田中ノート」:介入を支援するための外界にある知識の活用
- ありそうなシナリオ
「eラーニングジャパン」という架空の展示会に出展するシナリオ。 - いそうなキャラクター
上からの命令を下にスルーパスする上司、役に立たない先輩、言うことを聞いてくれないメンバー - 短いカット割り
2.3.「TARA-REBA eラーニング」
2.3.1.概要
(TARA-REBA eラーニングの概要については下記サイトをご覧ください。
http://www.hj.sanno.ac.jp/elearning/tarareba/)
「TARA-REBA eラーニング」では、主人公の田中さんがアジア最大のeラーニングイベントである「eラーニングJAPAN」の出展準備プロジェクトのマネジャーを任される所から物語が始まる。展示会当日までに発生する苦難の数々、eラーニングJAPAN展示会出展に向けてのプロジェクトをまとめて推進していくことが彼のミッション(使命)である。学習者は、主人公の田中さんに成り代わって学習を進めていくうちに、プロジェクトマネジメントに必要な知識とスキルについての理解を深めることができる。
「私だったらこうするのに」、「ああすればよかったのに」と試行錯誤をしながら学ぶのが「TARA-REBA」である。より実践的な内容を学ぶために、ゴールベースドシナリオの手法が用いられている。
最初の「キックオフミーティング」で田中さんはいきなり「総スカン」を食らってしまう「失敗モード」からシナリオが始まる。その後、「あの時こうすればよかった」を実践するための「TARA-REBAモード」で再度「キックオフミーティング」にのぞみ、成功に導くために様々な行動をすることが求められる。そして最後に、「TARA-REBAモード」で学習者がとった行動に対するフィードバックが提示される。
2.3.2.「失敗モード」
「失敗モード」では上司から展示会に出展するように指示され、その後、「キックオフミーティング」が開かれるが、予算の出所などを質問されても答えられず、会議の参加者が怒って出て行ってしまうところからシナリオが始まる。
2.3.3.「TARA-REBAモード」
「TARA-REBAモード」に入ると、再度上司から展示会への出展の指示をされるところから始まる。「田中ノート」には出展に関する様々な情報が書き込まれていく。また疑問があるときは上司の顔をクリックすると、質問をすることが出来る。質問のタイミングが悪いと怒られるが、タイミングがよいときは有用な情報を引き出すことが出来る。情報を得つつ再度「キックオフミーティング」に臨み、得た情報を用いながら参加者の質問に的確に応えられるかによって、会議が成功するかしないかが左右される。
2.3.4.フィードバック
フィードバックでは、全体をAからCの3段階で評価され、総括が表示される。上司が再び登場し、学習のアドバイスをくれる。
2.4.「TARA-REBA」の今後 −コトラーの4Pで考える
- Product
続編として、実際の出展まで作る、または別のキャラクターや、専門が違うシナリオで物語を作りたい。 - Promotion & Place
広く知ってもらうためにWeb上で公開したいと考える。 - Price
コストについては質問されると思うが、逆に、いくらなら買っていただけるか、誰が買ってくれるかをお伺いしたいと考えています。
続いて、会場から寄せられた質問をもとにディスカッションが行われました。
ディスカッション
まずは、ディスカッションから登壇された弦川氏に株式会社SGラボの紹介をしていただきました。
弦川:SGラボは、スクウェア・エニックスと学習研究社が、学びと遊びの融合を目指し、業務提携をして設立したものです。学習研究社の学習のノウハウと、スクウェア・エニックスのゲームの表現力で、難しいことを子供たちに、わかりやすく楽しく学んでもらおうと考えています。SGラボの「SG」には、スクウェア・エニックスと学習研究社の頭文字という意味もありますが、「Serious Game」の意味もかけています。
Q: シリアスゲームの新しさがわかりません。企業がプロパガンダとしてゲームを作成するところが新しいのでしょうか。それとも開発体制が新しいのでしょうか。シリアスゲーム、エデュテインメント、シミュレーションゲームの違いについてもお答えください。
藤本:シリアスゲームもエデュテインメントも「教育にゲームを利用する」というコンセプトは共通しています。
シリアスゲームでは、教育にゲーム業界が積極的に参加しているという点が新しいと考えます。シミュレーションゲームはシリアスゲームの中に含まれていますし、エンターテインメントゲームも技法はシリアスゲームで利用されています。
シリアスゲームは、シミュレーションゲームやエンターテインメントゲームといったゲームの形態ではなく、ゲームを具体的な問題に対して使用するという「コンセプト」を指しています。
Q: シリアスゲームは、現在どのくらい学校で使われているのでしょうか。
藤本:一つわかりやすい例は、「ダンスダンスレボリューション」がウェスト・バージニア州の全中学校に導入され、体育の授業で使われています。他にもアメリカやヨーロッパでシリアスゲームが教育に取り入れられている例があります。
Q: シリアスゲームの普及にはもっともらしい科学的根拠、すなわち学習効果が必要だと思います。シリアスゲームには定式化された評価方法はあるのでしょうか。
藤本:シリアスゲームの世界でも評価については注目されています。シリアスゲームでは従来の教育評価で行われているプレ・ポストテストなどの評価方法がが用いられています。また、ゲームはログが残るので、そのログを解析する手法がこれから開発されていくと思います。
Q: シリアスゲームはフリーで公開されている物が多いようですが、ビジネスとして成功しているのでしょうか。
藤本:当初はどうやって収益を上げるかが課題でしたが、最近は有効なビジネスモデルが出てきました。例えば、ゲームを制作している会社が、既存のゲームのエンジンやグラフィックを流用することにより、低コストでエンターテインメントゲーム並みのクオリティを実現することが可能になりました。現状では企業や財団、公的機関などがスポンサーとなって開発され、無料で公開することによって何らかの啓蒙的な効果を得ることを目的としているものが多いです。
Q: 現在のシリアスゲームは視覚と聴覚にうったえるものが主ですが、話したり書いたりといった考える行為が学習効果を生むという考えもあります。現状では考えることより覚えるコンテンツが主だと感じましたが、考えることについては何かアイデアはありますか。
藤本:学習の中でゲームをどのように位置づけるかということが問題です。書くとか話すと言ったことは、技術的な制約で難しいので、全てをゲームでやるのではなく、ゲームが得意な部分を分担させるのが適切だと考えます。また、教育がリーチ出来なかった人々にゲームがリーチ出来ればと考えています。
弦川:ゲームに「はまる」子供はたくさんいます。そのような「はまらせる」技術に関して、ゲームメーカーは非常に長けています。その特性を生かせればと考えます。また目的を絞れば、ゲームをきっかけに、ゴミの分別などの日常習慣を身につけさせるといったことが可能だと思います。
古賀:エデュテインメントについて否定的な本も出ています。(クリフォード ストール『コンピュータが子供たちをダメにする』草思社2001/11)。この本では、コンピュータの楽しい勉強だけでは自分の頭で考え批評する能力の養成がおろそかになるといったことが書かれています。しかし、私の考えとしては藤本さんのおっしゃるとおり、ゲームのメリットが生きる部分でゲームを用いればよいのであって、それによって学びのきっかけができれば良いと思います。先程、民族紛争に関するシリアスゲームの例がありましたが、ゲームだけでダルフールでの民族紛争の全てを学ばせようとは考えていないはずです。
Q: ゴールベースドシナリオとは何ですか。
古賀:ゴールベースドシナリオとは、Roger C. Schankが提唱する学習理論です。学習者は現実場面を題材としたシミュレーション教材の中で、与えられた目標(ゴール)の達成に向け、試行錯誤を繰り返し、そのプロセスで必要なスキルや知識を習得していくものです。しかしながら、ゴールベースドシナリオが明確に用いられている教材の実例が少なく、その実態をつかむことが難しいのは確かです。
Q:「TARA-REBA eラーニング」の学習効果について教えてください。
古賀:学習効果の評価はこれからです。これからWebに公開して、皆様のご意見を聞いていこうとしているところです。今回の「TARA-REBA eラーニング」では会プロジェクトを開始する前にはきちんとその目的と目標を明確にしなさい、というメッセージしかないのですが、これをきっかけにプロジェクトマネジメントについて学んでみようと思わせることが出来れば、このコンテンツは成功だと考えています。
Q: 「TARA-REBA eラーニング」で学んだプロジェクトマネジメントは実際の現場に転移するのでしょうか。
古賀:「TARA-REBA」に限らず企業内教育というのは、そこで学んだことが使われて実際にパフォーマンスを生み出すことが大切だと思います。例えば今回の場合は、使った人がプロジェクトを始める前に目標を設定するようになることがゴールだと思いますが、現実的な評価はまだの段階です。
Q: 一般にゲームというのはイメージがよくないです。親のステレオタイプな思い込みを壊すにはどのようにしたらよいのでしょうか。
弦川:ゲームをやりすぎるとどうにかなるという思い込みがあるようですが、ここ10年間、親子にゲームに関する調査を行った結果、ゲームに対する理解は非常によくなってきています。また、文部科学省主導で、小学校にパソコンが導入され1人1台の普及が実現して、次はコンテンツを普及させようという流れになっています。そういった意味では今、eラーニングやシリアスゲームには追い風が吹いていると思っています。
Q: ゲームのメリットとして、今までリーチ出来ていない人々へのリーチ、のめり込ませる技術などをあげられましたが、既存の教室やeラーニングでの教育のどの部分を否定してゲームを用いるのでしょうか。
藤本:モチベーションを持たせることや、夢中にさせることについて、ゲームはテクノロジーとして最も発達しています。また、疑似体験を通して問題のコンテクストにユーザーを入り込ませることが出来ることもゲームを使用するメリットです。
弦川:ゲームは子供だけでなく人間が本質的におもしろいと感じるものだと思うので、それが教育的な内容に生かせればいいと考えています。
古賀:ゲームを学習の動機付けのツールとして考えています。学習には、始める動機と、継続する動機の両方が考えられますが、我々はゲームを、始める動機付けのツールとして考えています。教育全てをゲームにするのは技術的にもコスト的にも厳しいのもその一因です。
中原
シリアスゲームでは、藤本さんが話されたように、教育者や研究者、ゲーム開発者など、様々なエージェントが手を組んでいるという状況はエデュテインメントの時代にはなかったことだと思います。大学が何かできる可能性があるのではと感じました。本日はありがとうございました。
「シリアスゲーム」は現在、欧米を中心として、有名な団体や企業がWebでシリアスゲームのコンテンツを公開していることなどからわかるように、非常に注目されている分野となっています。「シリアスゲーム」の鍵となるのは、あらゆることをゲーム仕立てで学ばせるのではなく、どのように学びのきっかけを作るか、どのように学びの世界に子どもを引き込むのか、というところにありそうです。
ゲーム・ルネッサンス:
いつか来た道、これからの道
午後2時〜午後5時
工学部2号館北館 9階 92-B教室
教育業界では、古くは「エデュテインメント」、さらには「Constructionism in play」など、様々な関連概念が、これまで主張されてきました。最近は、シリアスゲームという概念で、様々な教育用ゲームが開発されています。
シリアスゲームは、これまでのゲームとは何が違うのか。そして、そこにはどのような可能性が開けているのか。
「流行としてのゲーム」に流されず、その本質を見極める「慎重さ」と、それでいて、よいところは教育に積極的に活かす「貪欲さ」をあわせもつことが重要かもしれません。
今回の公開研究会のテーマでは、
1)シリアスゲームの現状と課題
2)ゲームの教育利用事例
などを扱いたいと思います。
藤本 徹氏
ペンシルバニア州立大学博士課程
「シリアスゲームジャパン」コーディネーター
http://anotherway.jp/seriousgamesjapan/
タラレバeラーニング
シミュレーション型ゲーム教材の事例紹介
(学)産業能率大学 総合研究所
e-Learning開発センター 古賀暁彦氏
シリアスゲーム事業をもつ民間企業
BEAT Seminar Report
2010年度開催
-
第1回:電子書籍時代の教材:誰が作りどんな形になるのか
2010年5月29日
2009年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
学習環境のソーシャルイノベーション
2010年3月27日 - 第3回:モバイルARが拓くPlace Based Learningの世界
2009年12月5日 - 第2回:日本の教育×オープンイノベーション:
世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して
2009年9月5日 - 第1回:2015年の学習環境を考える
2009年6月6日
2008年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
教育工学25年の歴史から考えるデジタル教材の未来
2009年3月28日 - 第3回:アートワークショップで子どもの可能性をひらく
2008年12月6日 - 第2回:プロジェクト学習が大学を変える
2008年9月6日 - 第1回:あなたに「ぴったり」な学びをかなえる技術
ー教育における協調フィルタリングの可能性を考えるー
2008年6月7日
2007年度開催
- 第4回:BEAT 特別セミナー
未来の教育のために学校と家庭ができること
ーフィンランドと日本の対話ー
2008年3月29日 - 第3回:子どもの放課後学習環境
2007年12月1日 - 第2回:BEAT 特別セミナー
オープンエデュケーションが切り開く未来
—Education 2.0:OCWの次にくるもの—
2007年8月25日 - 第1回:知育玩具
ー創造的制作活動をアフォードする人工物
2007年6月2日
2006年度開催
- 第9回:BEAT 特別セミナー
モバイル・ユビキタス技術と学習環境
:BEAT3年間の研究を総括する
2007年3月27日 - 第8回:子どもとネットコミュニティ
2007年1月13日 - 第7回:健康とICT
〜Web2.0で健康に?!〜
2006年12月9日 - 第6回:BEAT 特別セミナー
学習科学とICTは学びのあり方を変えるか
ー高等教育の変革を事例としてー
2006年11月11日 - 第5回:イマドキ・キッズの遊び場、学び場
どのようなチルドレンズミュージアムを創るか?
2006年10月7日 - 第4回:学校の枠を超えた交流学習:
伝え合うことで"異文化"を学ぶ子どもたち
2006年9月2日 - 第3回:ゲーム・ルネッサンス:
いつか来た道、これからの道
2006年8月5日 - 第2回:Web2.0で創る
『みんながちょっとずつ頭がよくなる世界
2006年6月24日 - 第1回:『かわいい子にはケータイを持たせよ?!』
キャリア各社の子ども向けケータイサービスへの取り組み
2006年5月20日
2005年度開催
- 第12回:BEAT 特別セミナー
2005年度 研究成果報告会
2006年3月25日 - 第11回:新しい評価技術とデジタル教材での活用
2006年2月11日 - 第10回:使える英語を身につけたい!:
語学学習を支援するデジタル教材のこれから
2006年1月7日開催 - 第9回:Aクラス人材を育成せよ:
企業eラーニングの現在
2005年12月3日開催 - 第8回:CAI/WBT
2005年11月12日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
ヨーロッパ・モバイル放送の現状と教育利用の展望
2005年10月 1日開催 - 第6回:BEAT 特別セミナー
教育における知的所有権・その現在と未来
2005年 9月 3日開催 - 第5回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
シミュレーション
2005年 8月 6日開催 - 第4回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
魅せます、CSCLのすべて:1日でわかる協調学習
2005年 7月 9日開催 - 第3回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
インタラクティブ学習環境「Logo」
2005年 6月 11日開催 - 第2回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
「人と森林」「マルチメディア人体」
2005年 5月 7日開催 - 第1回:デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー
ミミ号の航海と合衆国マルチメディア教材の系譜
2005年 4月 2日開催
2004年度開催
- 第8回:BEAT 特別セミナー
Emerging learning technology in education
姿をあらわしはじめた 新しい学習テクノロジー
世界最先端の現場から
2005年 3月 5日開催 - 第7回:BEAT 特別セミナー
プロジェクト成果報告会
2005年 2月 5日開催 - 第6回:DoCoMoモバイル社会研究所 共同企画
ケータイ・ネット・テレビ
〜メディアとこどもの今とこれから〜
2005年 1月 8日開催 - 第5回:モバイルする!? 科学教育
2004年12月11日開催 - 第4回:モバイルコンテンツとインストラクショナルデザイン
2004年11月 7日開催 - 第3回:ヨーロッパ・m-learningの現在
2004年10月 9日開催 - 第2回:"ケータイ"と教育の未来
2004年 9月 4日開催 - 第1回:地上デジタル放送の教育展開
2004年 7月 3日開催

